モラトリアム
潔癖症の女性を見かけた
お金を素手では触れず、雑踏に踏み入れる前に胸に手を当て、何回も深呼吸
たぶん、一種の強迫観念なんですよね
そういえばフランスから帰る飛行機でも隣の女性が潔癖症だった
ちょっと腕が触れると濡れティッシュで何度も拭いていた
その女性は東京駅にいた
少なくとも僕には東京駅は清潔にみえた
ごみ一つ落ちていない
でも彼女が不潔だと認識しているから、そこが無菌だろうがなんだろうが関係なく不潔になってしまう
面白いですよね
結局僕らは外界の事実はどうでもよくて、それを内面で認識したことが世界として広がるんですから
僕も偏った認識をしていて、看護師になってから自己否定の毎日が続いている
自己否定が続くと自身の存在価値について疑問が生じてくる
だから存在価値を探すためにバックパッカーという選択肢が生まれる
そう、退職したいのはバックパッカーをしたいからではない
存在価値を見出せない(見出そうとしてないのかも)現状から逃げたいのだ、モラトリアムへと
いや、もう存在価値とかじゃない、しんどいから現実逃避したいだけ
某大学院を出た先輩が言っていた
社会から逃げるために大学院に進学したと
でもその人はそこと向き合っていたから、後ろめたさとかそういうネガティブさはなかった
僕も最近そこと向き合えるようになったから、逃げることを正当化しなくなったからネガティブさは消えた
もちろん現実逃避だけがバックパッカーの目的ではない
細美さんの話で大好きな大豆と醤油の話が合って、
「しょう油の事を考えてた時に、ゴールがどこに向いてるか分かんないけど大豆をいじり始めた人がいたんだろうな…っていう事に気付いたの。お刺身を何かに付けて食べたいなって思った時に、あの黒くてしょっぱいあれを思い描いて大豆から始めたわけじゃない気がするなぁ。
だから、何事も目標を持って!って言うけど、とりあえず目の前の大豆で何か作れるんじゃないか?っていう発想からしょう油までたどり着く!みたいな…そういうやり方もあるんじゃないの?って最近思いますね。」
僕は大豆からなにを作るんでしょうか、楽しみです。